フリス・ストリート・ギャラリー

Tacita Dean
Tacita Dean フリス・ストリート・ギャラリーは、お気に入りのギャラリーである。特に以前、フィオナ・タンというアーティストの展覧会で、ガツンガツンガツン、と来た。そういえば気のせいか、映像作品を紹介してる率が高い。気のせいですか、それとも、映像専門のギャラリーなのかしら。

 今回は、時間とスペースを見つめる映像作家さん。名前の読み方わかりません。最初に入った部屋には、じいさんを8分くらい撮っている作品。古い映写機が、カタコトどころかガタガタ・ズィーっ(!)ズィーっ(!)と、むしろ其れがバック・グラウンド・ミュージック。

 かわいいお爺ちゃん・・・だったんだろうか?・・・。私が部屋に足を踏み入れたときは、2分くらい爺さんがアップで、険しい顔をしていたので、「ん?!ただならぬ雰囲気。」と見守ったが何も起きず。スペイン語かで、何が起こっているのか分からなかったし。(そういえば、イギリス人もコトバ分かってないんだ。)と思うと、対等な気がして嬉しくなる。二回目を見たときは、じいちゃんがかわいい感じで始まったので、なんだカワイイ系か、と心が落ち着く。

 この人の作品は、どうやら空間と時間がどうのこうのって説明にあった。だけど、コトバじゃなく感じたのは、「この作家さん、わたしがこのお爺ちゃんと一緒に過ごしてる感覚を味わせたかったんじゃないかしら。」ということ。知らない爺ちゃんでも、ことばが分からない爺ちゃんでも、じいちゃん。わたしは爺ちゃんと、しゃべらずとも一緒に座って、時間を潰してる感覚になったよ。他にも、唯ひたすら、鳥の止まっている木を写していたり。バオバブの、その木の前の、牛のフン(かどうか不明)にたかるハエに纏わりつかれたり。そんな経験。そんなスペースと時間の錯覚。

あ、それから。この爺ちゃん、ただの爺ちゃんかと思ったら、有名な美術家さんだったそうです。『グレート・イタリアン・アーティスト』って書いてあった。亡くなる2,3ヶ月前に撮られたということでした。