ヘイワード・ギャラリー

Africa Remix
£1.50(月曜日は入場料半額)
4月17日まで


この人のめがねに釣られて、まんまと行って来ました、アフリカ・リミックス。ひろみちゃんと行ってきたよ。でもこの展示はただの写真だけだった。このインスタレーション、またはパフォーマンスが見たかったのに。あの白ぶち眼鏡が欲しい!モダンと野性的ファッションの絶妙なミックス。ありえない格好がステキ。こうやって普段の生活では出来ない奇抜なファッション欲求を、わたしの代わりに満たしてくれる感じで、とてもよいね。(Picture right: Samuel Fosso, Tati Autoportraits, Le Chef_1997)

見てよかったと思える作品、こういう機会でなかったら、多分知ることが無かったひと沢山いました。


El AnatsuiさんのSasaは、クリムトの実在版と言う感じで、まさに『神々』しかった。だけど、こんな美しいのに実際の材料は、瓶のふた(王冠っていうのかな?)。巨大なゴミのパッチワークだったんです。なんてこったい、これがこれに?!って近くに行って発見。首も前後に動いて、近く遠くを繰り返して見ちゃうわね。素晴らしい。リサイクル・アートの大傑作だと思う。

DilomprizulikeのWaiting for bus、Ingrid MwangiのDown by the RiverやAndries BothaのHistory has an aspect of oversigth in the process of progressive blindnessなど、気がつけば『土』を使ってるアーティストが多かった。床に土を撒いたり。全体的に作品が、土っぽい、ほこりっぽいと感じもした。その土っぽさ、ほこりっぽさが繊細で美しいと思った。これは無意識に出てきてしまうモノなのかな。それを作品にこめることをしたアフリカのアーティストさんたちは、その感性もとても繊細で美しい、と思った。




ふと振り返ると、ブラックボックスの中をじーっと見てる、ひろみちゃんの後ろ姿。何事かと思って一緒に覗き込むと、そこには日本の風景が!!アフリカ・リミックスだよ。ちーっとも予測してなかった、この展開。縦長のブラック・ボックスの底には、どうやら東京の街中を足早に過ぎ去る人びと、あやしいアニメのキャラクターがこちらに向かって話しかけていたり、昭和のコアな日本の映像、不思議な不思議な日本の映像の数々が延々と流れ続けているのでした。なんじゃこりゃー!!!今でも謎です。何故、アフリカリミックスで日本?その前に、何でこの人こんな日本人でも知らないコアな部分に潜入しているのか。

わたし、日本から来てなかったら、こんなに長い間見てないだろうな、と思った。でも「みんな、この箱の中を取り付かれたように見入ってるんだよね。それで気になって・・・」ってヒロミチャン。そうなの・・・?不思議です。『日本』というものは、このアフリカのアーティストさんも、そして作品を通して見ているイギリス人の人々も、ひきつける不思議な力があるようでした。





今回の目玉はやはりJane Alexanderさんの作品かと。勝手に思います。あの薄気味悪いが小さくて可愛い生き物たち。私には、謎が多すぎて受け止めきれなかった不思議ちゃんたちは、パンフレットを読むと『ミュータント』という説明。

納得。

あの空間にうずめくものに。動かないけど何故か、スピリットがあの砂の結界の中で動き回ってる感じ。不気味ですばらしいです。

やはり、インスタレーションは・・・すごい。ファンタジーのあるアートは人をひきつけるんだな。イマジネーションそのものが深々と伝わってくるからかな。

わたしは、長いくちばしのミュータントが一番好きだった。その、スーパーきれいな足!に何度見ても感心。(Picture: Jane Alexander, African Adventure_1999-2002)




さ、つぎつぎ。その部屋の奥で、バーバーブーン、バーバーブーン・・・♪って聞き覚えのある曲がカーテンの奥から聞こえた。このユカイな曲に釣られて中の映写室に入ると、そこではWilliam Kentridgeさんによる『Shadow Procession』、白黒のアニメーションが流れてた。その部屋だけすごい人口密度なの。小さな子も大人もみんな見入ってる。

この作品、すごいよー・・・。見てよかった。何回でも見れるよー。アニメーションって・・・。アニメーションなのに。いやぁすごい。

何か面白みのある音楽に、可愛いかたちのキャラクター達、でもALLシルエットで怖い感じがする。途中で幸せが何度も破壊されるんです。それとも幸せが何度も生まれるのかな。幸せなモーメンツと悲しいモーメンツが交互に繰り返されて、どっちなの?どっち見りゃいいの?どっち信じりゃいいの?って、やもすると混乱。案の定、笑いを取った模様の男の子たち、ガハガハ笑っていたけれど・・・そっちなの?!わたしにも分かりません。でもなんて作品だったのか。すごい。DVDないかしら。何度だって見たい、と思わせられる作品でした。



結構、この時点で色々な作品を吸収しすぎて、疲れきった私たち。ふらふらと進む。ふと気がつくと、ひろみちゃんが居ない!

ひろみちゃん、フランスパンを作る工程のビデオをじっと見てた。あの一瞬がやたら愉快だった。だって、ただフランスパンの生地が、機械で混ぜられていく映像。その横で、その工程を見入るひろみちゃんともう一人の観客。それを見つけた私。なんか、疲れが限界に来て、その作品の軽やかなこと。ビデオを見ながら、横に並べられた本物のフランスパンを見比べる彼女たち。(ほー、これがこうね・・・)って見てたらしい。アート?その微妙な線が最高。あはは。

Moataz NasrさんのTabla。びっしりと大小さまざまのボンゴが並んだ部屋の正面にボンゴを演奏するアーティストのビデオが流れている。並んだボンゴの下にももう一つスピーカーがあったようで、見えないボンゴの演奏者と、彼がセッションしているかのようなインスタレーションでした。面白い!でもあのボンゴひとつひとつにスピーカーが仕込んであって、大演奏してくれたら良かったのにな。そうすればボンゴの数の意味もわかる。予算ですかね。アートは本当に手間がかかるよな。

それから何しろ美しいと思ったコラージュの作品。Wangechi Mutuの作品は・・・なんとも言えません。あのグロテスクな感じもするのに、何て美しいんだろ。素晴らしい。見ればわかるさ。検索してください。

くたくたになった私たちは、エンジェルまで出て、ランプの沢山釣る下がったトルコ料理屋さんでお昼を食べました。言葉数も少ないまま。でも美味しかったー。私が食べたのは野菜だけだったけど、なんであんなに美味しいのか。

とても充実した一日でした。



家に帰って読んだパンフレットには、こう書いてあった。

"It could be said that there is no such thing as 'African art', only African artists. The aim of the exhibition is to celebrate their diversity and creative energy, rather than emphasising nationalities or cultural origins."

その通り、今回はアフリカ・アーティストさん達のパワーがぶんぶん感じられたよ。そのパワーにやられて、やつれ帰った私たちでした。作品が一つ一つ、新しい経験として私が出会っていくような不思議な感覚がしました。アフリカ。行って見たいよ、本当のアフリカそのものを、イギリスに来て見たように。以上。長いね。ごめんごめん。

そのほかの展示作品を見るには、と〜っても素晴らしいホームページがあるのでこちらをご覧下さい。