晴れ

アツコさん、大変遅くなりました。以前チェルシー大学のMAにご興味がおありのアツコさんから、コメントにいただいたリクエストにおこたえして、チェルシー大学の良いところ・悪いところを総まとめいたします。とは言っても、、、なかなか時間をかけても、上手くまとまりませんでした!ごめんなさい。とりあえず今まで出てきたポイントを、書き出してみようと思います。親にも報告したかった自分のためにも書こうと思ってます。

まず断っておきたいのは、わたしはあくまでBAの立場でしか話せないので、MAの立場からすると少し的はずれになっている点もあると思います。それから、今までほかの美術大学に通った経験がないので比べて話すことができません。が、今わたしが思っていることを、なるべく書きたいと思ってますので、今までの日記でもちょろちょろ紹介してきた大学生活も含めて読んでいただきたいと思います。

校舎と設備

やっぱり新しい校舎に移って、ロケーションはテート・ブリテンの真横で、大学の建物も場所も素敵です。学校に通うのが楽しくなる。場所ってやっぱり重要だと思います。単純に気分にもずいぶん作用するしね。もちろん設備も新しい。私はあまりワークショップを使わないけど、ワークショップはすごい広くて色んな機械がおいてあります。ほかの大学から来た人も、うちのワークショップいいねー、といっていました。それくらいしかわからないな〜。

ただ、まだ校舎が移って、Organized されてないところが多いです。一年たっても、良くなるどころか悪くなる一方で・・・。この調子だと来年も、、、と、わたしたち在学生も心配しています。今でも年の初めは、ワークショップが数ヶ月使えない状態だったり。新規の学生に使い方の説明をするためだそうですが、そんなにのんびり時間を構えてるなんて、どう考えてもおかしい。ペインティングはまだいいけど、スカルプチャーにいる生徒やMAの出願、ディグリー・ショウを控えている3年生は相当怒っていた様子です。それに、どこの大学も同じだけど学費が毎年1000ポンド単位ずつ増えてましたよね。だから今の3年生と1年生では2000ポンド(ほぼ40万円)も違う。値段が増えて、その分学校の質が上がるどころか、前のサービスより十分落ち込んだにも関わらず、ずっと高い授業料を払わなければいけない。どうしても納得できてない生徒がたくさんいます。

唯一、心から自慢できるのは図書館です。チェルシーは、ファインアートに関する本や資料の取り揃えが、ヨーロッパでも有数のすごい充実したコンテンツなんです。今は高速ワイアレスもつなぎ放題で、その話は先日の日記でお話したとおり。

日本人率について

MAの日本人率は正直よく分かりませんが、ロンドン美術大学どこもアジアから来ている方は多いですよ。必ず日本人はいると思うので、せっかくですから、ぜひMAのひとを捕まえて話をきいてみてください。

カリキュラムの内容について

正直申しまして、BAとMAはどう違うのか分かりませんが、そうですね、チェルシーのMAは1年なのがいいんですよね。お金の都合や、取り合えずMAを早く卒業したい、という人に人気があるそうです。それからあつこさんも聞いている通り、放任主義。まあ、放任、、、?チュートリアルは、自分から希望しない限り頻繁にはありませんし、レクチャーやセミナーも1週間に一度ずつ、最低限ある程度でスタジオ・ワークがメインとなります。先生陣は、現アーティストとして活躍してるひともたくさんいて、すごい勉強になりますよ。ただ、先生もアーティスト活動が忙しくて、結構自分の時間とチュートリアルの時間をきっぱり分けてる方ばかりで、熱血指導とか、そういうのはないですね。

「チェルシーでの大学生活を生かすも殺すも自分しだい」、とよく友人たちが漏らすのを耳にします。上手くいえないけど、作れ、作ればいい!という姿勢の先生たち(以前の日記にも書いたとおり)。自分のしたいこと、学生生活でのプランが見えているひとは、この学校に向いているのかもな。

というわけで、話を戻します。カリキュラムをきっちり組んだ授業内容、というよりは、スタジオ・ワークがメインになります。なので、そのスタジオの設備が一番大切で、私たちが払っている高い学費もほぼ、その設備費だと思って納得いくはずなんです。

が、とにかく今一番問題なのは、そのスタジオ。

スタジオが大問題

あくまでBAのスタジオに関して話すと、とても想像してなかった悪環境に、今年、わたしは正直絶句しました。とにかく狭い。今学期のはじめ、最初の日あまりにも自分の目が信じられずに、部屋をはかったところ、(今手元にサイズを測ったメモが見当たらないのですが)壁もなくぎっちり詰めこんで、ひとりたった90 cm 四方しか与えられなかった計算。部屋のサイズは、ちょうどわが家のラウンジとキッチンを足したサイズです(お母さんたち分かるかな)。そこに25人が詰め込まれた状態。こんなところで、作業なんかしてられません!!そんな小さいんじゃ、何にも作れないでしょ、だって。大学が Millbank に移った初期は、学年ごとにはっきり差があって、私は一年なので仕様がないのかと思ってました。小さな50cm四方の机を入れて、そこで他の生徒に押されながら、ちまちま作業してました。ところが学年が上がっても、結局変わらないどころか、毎回スタジオはギュウギュウ詰めにされて。正直言って、この環境はクリエイティブじゃない!

これでは、せっかくBAに上がってもFoundation のころとあまり変わらないし、スタジオの問題は、まだごたごたが尽きません。折角、作成中の作品をどかしてまで(大きな作品を作ってると、動かせない場合ありますよね。)MAとBAの場所を代わるなんとかで移動を強いられたり。それも一人や二人の数じゃないんです。大体、いつも移動するかもしれない危険があると、大きな作品なんかオタオタ作ってられませんでしょ。それも美術大学なのに、おかしいんです。

詳しいことは分からないけど、MAの人の少し耳にしたとき、こんな状況でもチェルシーは今のところ BAのほうに重きを置いているらしく、MAはないがしろにされているともらしていました。
次々起こる、こんな問題にチェルシー大学生は、ただただ絶句してます。

今学期、大学の中庭で『この大学で、アートは死んだ』とプラカードをもって、ワークショップの閉鎖に対して一人抗議をしていたロックなお姉さんがいました。早速、学長に説教されてましたが、なんで怒られなきゃいけないのか、さっぱり分かりません。反省してもらいたいのは、そっちです。みんなそれくらい怒ってるんです。というか、怒りすぎて鬱状態です。ある意味、精神的に死んでます。ここで、場所取りなど、サバイバルに生きるかそれとも、、、。

そんなこんな一学期でした。来学期も大変そう。

とりあえず、こんな感じです。大学の先生や友人など、今すごい良い人たちに会って、大学も素敵な場所で。この大学に入ったことを後悔するつもりはありませんが、これから入ることを考えている方には、お勧めできない理由はこういうことです。伝わったかな?

長くなってごめんなさい。上手くかけたかどうか不安ですが、もしチェルシー大学の学生さんで、付け足したいことや、ここは違うなどあったらコメントで教えてくださ〜い。
では、あつこさん、今のところ私からは以上です!