http://www.aozora.gr.jp/cards/000074/files/424.html
 ねずみ花火を検索したら、たまたまあった「檸檬」という小説。この人、今で言う「鬱」になったのだろうけど、旅をしているような感覚を起こそうと努めたり、こういうと変かもしれないが、私は妙に、「なんだ、とっても充実した生き方しているじゃない」と思ってしまった。鬱の時にはますます敏感になるのか、どうかはわからないけれど、この人はとても感受性が高くって、ものごとを繊細に受け取ることができている。それを楽しめるかどうかが、鬱か正常なのかもしれないし、また鬱なのも、療養という目的で旅に出るのも良いだろうし、普段とは別に、物事をゆっくり、また繊細に受け留めることができる時期なのだから、全くのマイナスではないのかもしれない。最後に、彼はユーモアと創造力を働かせて、本を積み上げ檸檬を飾るという行為で、即席にアートを生み出している。丸善という気詰まりな場所を崩すことで、彼は彼自身の心の余裕とユーモアを取り戻している。時代は違えども、こういうことする人が私は好きだ。