セントラル中心に7つ

 セントラルのウェスト・エンド中心にギャラリーを回る。今日は、ペインティングが多かったな。特に、「・・・アワード(Award)」と付く絵画展とか、若い人がどうのこうのと言うもの。私も学生なので、どういった作品が注目されているのか興味があって。
 まずはお気に入りの「フリス・ストリート・ギャラリー」に行く。ここは、静かだけど雰囲気のある作品が多い。今回は、本当にシンプルな行為だけで作品を展開しているアーティストを紹介していた。例えば、紙を窓に貼り付けて、鉛筆で上を塗りつぶして写していく。単純だけど時間がかかる。同じ行為をドアにもしていた。真っ黒に光るその絵は、一瞬見ただけでは、それが何の意味があるのか分からない。「door」と言う題名を見て、ハッとするのだ。カラフルな蝋燭を紙の上に並べて、完全に火が尽き蝋が溶け切るまで待ち、それを額に入れて展示していたり。使い古したような世界地図を、銀色のペンで塗りつぶしていたり。シンプルだ。こんなシンプルなことが、こうも立派に、立派なギャラリーで展示されているのだから、アートはとってもシンプルに考えて良いのだ、と思う。それともまた、ここまで単純の境地を開けたのだから、何かを究めているのかもしれない。
 「ステファン・フリードマン・ギャラリー」は、パワフルだった。作品は、政治的要素を含んだもの。どうやら、このスイス人アーティストは、わざとダンボールや、張りぼてなどの安い素材を使って、パワフルにギャラリー中を埋め尽くす。人の骨が至る所に落ちていたり、多分イラクの現状を連想させる写真や言葉は、もうめちゃくちゃで、引きずり回されているような感覚に陥る。もう、どうしようもない不安と失望の中で、それでも何かをしないと、表現しないとという気持ちに駆られて、アーティストはこの作品を作ったのじゃないかな。これも、その熱情が、大作。
 若い人を特集したアワード展を幾つか見て、やっぱり若者は「カッコイイ絵」や、「スタイリッシュな絵」を描こうとするのかな、と思った。私もそんな絵を描きたくって求めているし、それで間違いないだろうと思う。絵とは、やっぱりビジュアルで、飾りたくなる絵が欲しいもの。それを模索しているのだな、という頑張りが垣間見えた。若者と年配の作品とは、その絵の『時間』も違うし、テイストも全く違ってくるようだ。ただ、若いから出来る求め方も、成長の仕方も、そんなことに(アワードの頻度を見ても*1)皆、興味があるのかなぁ、と思った。それは若いから出来る絵なんだ。なんとなく、何が求められているのか、何を人が見ているのか、分かったような(分からないような)気がする。

 作品は一部、それぞれのギャラリーのウェブサイトで見れるので、良かったらインターネットから、ロンドンのギャラリーを巡って見てください。

  • フリス・ストリート・ギャラリー

Frith Street Gallery
Anna Barriball (Mixed Media)
http://www.frithstreetgallery.com/

Stephen Friedman Gallery
Tomas Hirschhorn:Unfinised Walls (インスタレーション)
http://www.stephenfriedman.com/

  • エントウィッスル

Entwistle
Gallery Artist (Painting/Printing)
http://www.entwistlegallery.com/

Sarah Myerscough Fine Art
DLA Art Award 2004 (Painting)
http://www.sarahmyerscough.com/

Haunch of Vinison
Thomas Nozkowski (Painting)
http://www.haunchofvenison.com/

  • ビクトリア・ミロ

Victoria Miro
Painting 2004
http://www.victoria-miro.com/

  • クラフツ・カウンシル

Crafts Council
Richard Slee (Ceramic)
http://www.craftscouncil.org.uk/Exhib/richardslee/index.htm

*1:沢山のアワードが毎月ロンドンでは開かれています。